2.本書の目的と意義
本書は現代日本語の自動詞文と他動詞文に関する研究である。動詞の自他対応と自他交替については、従来から多くの研究者により研究がなされている。しかし、従来の自他に関する研究は「形態」を中心とした研究が大半であり、「意味」の観点から深く追及した研究は数少ない。また、自他交替に関する研究は「意味」を中心とした研究が多いが、その「意味」は「形態」に完全に一致しない。両者に大きなギャップがある。そのため、未だ様々な課題が残されているのが現状である。本書では、[cause]の関係の是否を中心に、意味の観点から日本語の自動詞文と他動詞文を考察し、再整理を行うことを目的とする。