1.4 本書の構成

1.4 本書の構成

本書は全部で7章から構成されている。それぞれの章の内容は次のとおりである。

第1章では、本書の目的と基本的な立場を述べておく。また、本書が依拠する認知言語学の考え方及びコーパスを提示する。

第2章では、本動詞の“给”構文について考察する。プロトタイプである本動詞“给”の意味的特徴及びプロトタイプから拡張した“给”構文について述べる。

第3章では、“给”の品詞性の問題を概観し、“给”の多様性を同音異義語ではなく、多義とみなすべきことを論じる。“给”の品詞性に関しては、研究者によって意見が分かれているのが現状である。本章は先行研究を引用しながら、新たな意見を提案する。

第4章では、“V给”形式をとる二重目的語構文の意味的特徴を分析し、また“V给”構文の拡張のプロセスについても明らかにする。

第5章では、“给……V”形式を用いるさまざまな二重目的語構文を分析し、拡張について検討する。“给……V”構文は、授与構文、IO及び主語が人間ではない構文、脱再帰の二重目的語構文、受益構文とさまざまな二重目的語構文がある。本章ではそれぞれの構文のもつ特徴をまとめるだけでなく、各構文の拡張に見られる相違点にも言及する。

第6章では、もう一つの“给……V”構文であると見られる受動用法を分析し、受動表現の成立条件や“给”の役割及び拡張のプロセスを説明する。

第7章では、本書の総括として、以上で論説した“给”を含むさまざまな構文のネットワークを提示する。

【注释】

[1]下線は筆者が引いたものである。以下同様。

[2]文頭にアステリスク(*)をつけて非文であることを示す。以下同様。