7.2 まとめ

7.2 まとめ

本書では、従来さまざまな構文で現れると指摘してきた“给”について、基本的にすべて動詞であるという観点から分析を行った。

プロトタイプの本動詞“给”は、二重目的語構文を構成するが、それを構文スキーマとして“V给”構文と“给……V”構文にも応用できる。朱(1979)では、本動詞の“给”を含め、本書で扱う“V给”構文と“给……V”構文の“给”はすべて動詞であると認めるが、“给……V”構文の「服務」の意味を表す“给”は介詞であると主張する。本書で明らかにしたように、この場合の“给……V”構文は、受益者が追加されることによって、DOの帰着点が背景化され、結果として、授与の場合と同様に、二重目的語構文となっている。従って、「服務」の意味を表す“给……V”構文の“给”も動詞であると判断する。

一方、「受動」の意味を示す“给……V”構文に関しては、二重目的語構文とみなせない点に着目し、従来の観点と異なり、補語をもつ本動詞の“给”構文をプロトタイプとして拡張した構文であると分析した。この場合の“给”は、IOとDOの両方をもつ二重他動詞の“给”と比べ、動詞の性質が薄れることが見られるが、周辺的な成員として動詞と見ることもできる。

“给”の全体像とそのつながりを示したのは、本書の成果である。