2.3.3 IOが人間ではない場合

2.3.3 IOが人間ではない場合

第2.3.2節では、主語は人間ではない場合を見てきたが、本節では、IOが人間ではない場合を見てみよう。

(29)农夫们给了土地充足的肥料。

[作例:自然度1.00]

農夫たちは土地に十分な肥料をやった。

(30)他的慈爱的母亲在贫苦的生活中给了他的童年许多温暖。

(張2010:620)

慈しみの母が貧しい生活の中で彼の少年時代に温かみをあげた。

例文(29)では、IOに当たるのは“土地(土地)”という非情物である。それに、DOが具体物の場合、プロトタイプの二重他動詞の“给”と同様、DOの位置変化やIOの状態変化が共に観察される。

また、例文(30)のように、DOが抽象物の場合、第2.3.1節で述べたように、DOの位置変化が観察できず、IOの状態変化のみが含意されるという意味的特徴をもつと言える。

(31)IOが人間ではない場合の“给”構文:

S给NP1(IO)NP2(DO)

[人間][非情物][具体物]/[抽象物]

意味フレーム:SがIOに働きかけ、IOがDOをもつようになる。