アジアのビジネス環境(亚洲的商业环境)

10、アジアのビジネス環境(亚洲的商业环境)

(1)中国の「人件費上昇」が大幅アップ

~アジア主要国のビジネス環境(リスク)~

● 中国の「人件費上昇」は前年比12.9ポイント増の41.3%

アジア主要国(中国、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ベトナム、インド)のビジネス上のリスク・問題点について、「人件費が高い、上昇している」で、中国が41.3%と2006年度調査(28.4%)から12.9ポイント上昇し、中国では人件費上昇によるコスト増への懸念が強まっていることが伺える。この他、中国については、「法制度が未整備、運用に問題あり」(54.0%)、「知的財産権の保護に問題あり」(53.9%)で半数を超える回答率となっており、法制度の運用面や知財侵害問題などがリスクと認識されている。

●インド、ベトナムはインフラの未整備が課題

「インフラが未整備」ではインド(53.5%)、ベトナム(50.3%)が、2006年度調査に引き続き高水準にあり、両国でのビジネス拡大意欲は高まる一方、インフラ未整備が課題として強く認識されていることが示されている。同時に、「関連産業が集積・発展していない」でもベトナム、インドが上位を占めた。「税務上のリスク」は、中国(28.9%)、インド(12.5%)が上位を占めたが、中国については、労働集約型品目に対する増値税の還付率引き下げや法人税率の見直しの動きなどを、インドは間接税など複雑な税制体系に対する日本企業の認識を反映したものとみられる。「労務上の問題あり」についても、中国(29.9%)、インド(15.8%)と両国が上位を占めるが、中国では労働法制の見直し、インドでは厳しい労働法制等に対する認識を反映したものとみられる。

(2)ビジネスコストではベトナム、教育水準ではインド

~アジア主要国のビジネス環境(魅力)~

●消費市場の成長性では中国、インド、ベトナム

アジア主要国(中国、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ベトナム、インド)のビジネス上の魅力について、「消費市場の大きさ」では人口規模を反映し、中国(75.4%)、インド(65.2%)が圧倒的に高く、「消費市場の成長性」についても中国(65.3%)、インド(64.8%)に加えて、ベトナム(43.2%)に対する高い期待が示されている。

●「教育水準が高い」はシンガポールに続いてインド、「ビジネスコストが安い」はベトナム、中国「語学上の障壁が低い」は英語圏の国が上位を占めた。「教育水準が高い」はシンガポールに続いて、インド(17.6%)が第2位となり、ソフトウエア産業などに代表される高等教育の普及などに対する認識を反映したものとみられる。「ビジネスコストが安い」では、ベトナム(40.8%)が第1位となり、中国(25.6%)、インドネシア(23.9%)が続いている。