長期的視野に立った開発拠点整備の必要性
それでは、日本企業としてはどのような対中戦略をとっていくことが必要であろうか?
ここでは主にエレクトロニクス産業を念頭において考えていきたい。まず、戦略を構築するためには競争相手を明確にする必要がある。これまで見てきたように、競争相手としての中国企業はまだまだその技術的レベルは低い。従って、ここ5年といったタームで見ると、中国マーケットにおいて日本企業がターゲットとすべきハイエンド層における強力な競合相手になるとは考えにくい。日本企業の当面の競争相手は、むしろ欧米や韓国におけるグローバル企業である。(https://www.daowen.com)
エレクトロニクス分野において日本企業は、欧米企業と比較して早い段階から対中進出を行ってきた。中国から見た直接投資の額を見ても日本がトップである。ただ、日本企業の対中進出は、生産拠点として安価な労働力を求めたものが中心で、中国市場をターゲットとした製品の現地化はむしろ遅れているといわれている。これからますます重要性を増す中国市場を狙った製品開発を行っていくためには中国における研究開発体制を充実することが必要である。このところモトローラ、ノキア、シーメンスといった欧米の主要IT企業は、相次いで中国に新たな研究所を設置している。これらの多くは製品のローカライゼーションを行うための開発拠点として設けられたものである。これに対して、日本企業における研究開発体制の整備は遅れている。
最近、中国政府は高等教育に力を入れており、安価で良質な人材が豊富である。日本企業としては、中国をこれまでのように生産拠点としてのみ捉えるのではなく、中国における優良な人材を用いた開発体制を強化することによって、欧米や韓国企業とのグローバル競争に対応していくことが必要である。そのためには中国をグローバルな研究開発拠点の1つとして認識し、長期的ビジョンに立った計画的な研究開発体制の構築に取り組んでいくことが必要である。