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2025年10月24日
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「ものづくり輸出立国」の終焉——日本の輸出は驚くべき減少過程に入った
国際収支統計や貿易統計は、日本の輸出が猛烈な落ち込みのフーズに突入したことを示している。財務省が1月13日に発表した国際収支速報によると、11月の輸出は対前年同月比で26.5%の減少になった。実質ベースで見て輸出はGDPのほぼ15%を占めているので、この減少傾向が1年間続けば、それだけでGDPは4%近く減少してしまうことになる。
実際には、設備投資の減少や所得の減少による消費減の影響も加わるので、GDPの落ち込みはもっと大きくなる。08年12月の工作機械受注額が前年同月比71.9%の減少という驚くべき値を示したことを見ても、設備投資の落ち込みは相当な規模になると推測される。したがって、これからの日本経済は、きわめて深刻な有効需要の落ち込みに直面することになる。
なお、輸入が減少(対前年同月比13.7%の減)したにもかかわらず輸出がそれより激しく落ち込んだため、国際収支統計における貿易収支は934億円の赤字となった。この結果、経常収支の黒字は前年同月比で65.9%減少した。
貿易収支の赤字は、昨年の8月から(9月を除けば)継続して赤字になっている。今後輸出の大幅な増加は見込めないため、貿易収支の赤字はもはや定着してしまったと考えることができる。つまり、製造業をベースにした「ものづくり輸出立国」の時代は、終焉したのである。
今後の日本の経常収支は、所得収支における黒字で支えられることになる(11月の所得収支は、8447億円の黒字である)。だから、対外資産の運用をいかに効率的に行なうかが、今後の日本にとってきわめて重要な課題になる。