中国経済の産業競争力をどう見るか?

中国経済の産業競争力をどう見るか?

日本企業と比較した中国企業の競争力は、豊富な労働力をベースとした価格競争力であることは間違いない。ただし、製品価格は賃金や原材料などのコストとともに生産性のレベルによっても影響を受ける。コストの高い日本で生産活動を行った場合でも、生産性を上げることによって中国企業に対抗していくことは十分考えられる。このように日中の産業競争力の現状を評価するためには産業別に見た生産性の状況を把握することが重要である。RIETIにおける「環太平洋諸国の生産性比較プロジェクト」によると、2000年のマクロレベルで見た中国経済の全要素生産性のレベルは日本の66%となっている。ただし、1982年時点では50%であったので、特に日本の生産性伸び率が低下した90年代にキャッチアップされてきている。中国においてその隆盛が著しいエレクトロニクス産業について比較すると、1982年時点で日本の34%であったものが2000年には59%となったことが分かっている。

このように日本をベースとした中国の産業競争力は着実に高まってきているが、中国におけるハイテク産業の生産はかな

りの部分が外資系企業によるものであることに留意することが必要である。

2002年の中国におけるエレクトロニクス産業の生産額のうち、45%は日系企業も含めた外資系企業によるもので、15%は台湾地域の・香港地域の企業、中国大陸の企業による生産額は全体の40%に過ぎない。外資系企業は、中国国内企業と比較して生産性レベルが2割~3割高いことが分かっているので、いわゆる中国企業の競争力という観点からいうと上記の生産性レベルの数字はかなり割り引いて考える必要がある。