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長期投資と短期投資はどちらが有利か?
岩渕:それではドリームフィールズ投資家対談を開催します。今回のテーマは「長期投資と短期投資はどちらが有利か?」です。とても難しい議題ですが、どちらが有利かという問題だけでなく、皆さんがこの2つの投資をどのように考えているかを伺えればと思っております。それでは、錬金術師さんからお願いします。
錬金術師:はい。長期投資と短期投資はまさに一長一短ありますが、どちらが有利かということを敢えて述べるのであれば、短期投資に軍配を上げます。勿論、投資のクラスというか種類により、長期投資向きのものも短期投資向きのものもありますが、株式や為替、商品先物取引等においては、複利投資がおこなえる短期投資が有利と考えています。勿論長期投資でも複利の効果が得られますが、売買手数料の軽減した現在の状況を考えると、短期で複数行う方法にも有利性が出てきました。後は、短期投資で負けにくい投資を実践し、それを継続していく事ができれば、優位性が増していくものと思われます。
岩渕:ありがとうございました。短期投資で負けにくい投資ですね(笑)。
錬金術師:非常に難しいのですが、不可能ではないと考えています。
岩渕:この点についてもっとお伺いしたいところですが、投資法の話になってしまいますので次の機会にします。
錬金術師:分りました。
岩渕:では次はだいさんお願いします。
だい:長期投資と短期投資の「何について」有利なのか?という点によっても答え方がいくつもあるかと思いますが、シンプルに考えると、僕は「長期投資」が有利だと思っています。理由として、もし知り合いが投資を始める時にアドバイスをもとめられたら、間違いなく最初に長期投資をすすめるからです。短期売買のメリット、有利さは高いパフォーマンスが求められることだと僕は思っていますが、その分、知識や時間など費やすものも大きいです。もちろん長期投資も決算書が読めなくてはならなかったり、経済の勉強が必要なわけですが、短期投資の労力に比べたら、長期投資は比較的少ない労力で実践できるものだと思っています。また長期投資はそこまで大勝ち、大負けというのがないので(もちろんレバレッジの高さや銘柄によりますが)、比較的、安定している投資手法だとおもいます。
岩渕:なるほど、錬金術師さんとだいさんの意見では基本的な部分での認識が違っていますね。短期投資、長期投資、どちらでも勝てる投資法があるとして、どちらが有利かの問題であればそれは短期投資というわけです。
錬金術師:そうですね。
岩渕:だいさんはどちらの投資を学ぶことが楽かを比較しています。どちらが有利かとはちょっと違うかもしれませんね。だいさんに伺いますが、長期投資はバリュー投資をイメージしているのでしょうか?
だい:そうですね。人にアドバイスすることをイメージして説明してみました。ちょっと違ったでしょうか。いまいちまだ、わかっていません。長期投資はバリュー株投資をイメージしています。
岩渕:なるほど、錬金術師さんは何をイメージしていますか?
錬金術師:スイングトレードですね。
岩渕:マーケットに縛りはありますか?
錬金術師:縛りというのはどういう意味でしょうか?市場により差があるかという事でしょうか?
岩渕:だいさんは株式に限定しているので、錬金術師さんはすべてのマーケットをイメージしているかどうかの確認です。
錬金術師:すべてのマーケットを対象に考えています。
岩渕:ありがとうございました。では、朱雨さんの意見も伺ってみましょう。よろしくお願いします。
朱雨:はい。私は、どちらが有利かを考えていく上で、長期投資の長所、短所と短期投資の長所、短所を少し考えてみました。長期投資は、数ヶ月もしくは長ければ数年間、建て玉を持ち続けることになります。そのため、1度買えばそのあとは頻繁に株価を見なくて良くなります。時間的余裕の少ないサラリーマン向きですね。特に個人投資家の場合は、建て玉が含み益の状態だとしても決済しない限りは税金を払わなくて良く、無駄な手数料もかかりません。それに長期ならば銘柄によって配当を得ることができますから、インカムゲインも期待できます。これらが長期投資の良いところですね。ただ、基本的に売らないことが前提の投資法ですから、玉を建てる前の銘柄選択には、十分留意することが必要です。また、長い間、建て玉という形で資金をリスクにさらしているため、例えばテロや隠れた悪材料など何か株価に大きな影響を与える出来事が起きると、最初の建てた前提条件が崩れてしまうので、そのまま建てっぱなしというわけにはいきません。これらが短所です。短期投資の利点は、資金をリスクにさらす期間を出来るだけ少なくできるといったところにあります。例えば、ファンダメンタルの数値が大きく変わる決算発表前には建て玉を手仕舞い、ノーポジにするなど、リスクを避けることが出来ます。これが一番の長所ですかね。短期投資は、基本的に値上がり、値下がり益、つまりキャピタルゲインを狙った投機、ということになるでしょう。狙う銘柄は、主に、短期間に値動きが大きくブレる銘柄になりますね。うまく波に乗ることができれば、短期投資は資金は雪だるま式に大きくなっていきます。ただ、短期に売り買いするわけですから、相場に長い時間を費やさねばなりません。上で錬金術師さんが現在は手数料が以前より軽減されたとおっしゃいました。それはその通り。ただ、私は短期売買が多いのですが、軽減されたとはいえ、後から振り返ると、手数料は長期投資より遥かにかさみます。それだけ不利なのは間違いない。よく言われるのが、100の資金を半分の50にしてしまったら、次に元の資金に戻すには倍必要。つまりそれだけ大きく資産を減らしてしまったら元に戻すのは至難の業ということ。うまく流れに乗れれば良いのですが、ただでさえ手数料的に不利ですし、前述の通り狙う銘柄は値動きに大きなブレがありますので、失敗が重なると一気に資産が急減ということになります。以上のことから、短期投資は、値動きの予測ができる鋭い感覚を持った人向きで、少なくとも初めて株式投資をする人がするべきではないと考えます。これはだいさんがおっしゃった意見とほぼ同じです。で、2つの長所短所を比べてみると、CPと同じく、どちらが有利不利とはいえず、一長一短あり、投資家それぞれの経験値や力量次第だと思いますね。ウォーレン・バフェットなど、長期投資家が大きな資産を築き、成功を収めている例があるので、長期投資は有利なんじゃないか、と考えがちなのですが、彼は、銘柄選択に対して、確固たる基準と確かな目を持っているから成功しています。ただ、闇雲に玉を建てて長期投資しても絶対うまくいかないですね。例えば、NYダウなどは長期上昇トレンドですが、日本では、バブルのスッ高値で、買ってしまえば、1、2年の長期投資なんていっても買値に戻らず全くもってダメですもんね。どちらも簡単ではありません。ちなみに以上のことはレバレッジ1倍の金融商品を念頭に置いています。少資金で高レバレッジの金融商品やるなら、短期売買しかありません。以上です。
岩渕:ありがとうございます。見事に纏まっていますね(笑)。長期投資、短期投資の優位性はどちらにも存在しています。投資家が何を選択基準にしているかによるところが大切ですね。
朱雨:はい。
岩渕:宗太郎さんのコメントで締めてもらう前に私の意見も挟ませてもらいます。私は投資に長期投資も短期投資の区別はないという考えです。何をもって長期と呼ぶのか、短期と呼ぶのかがとても難しいからです。投資家が選択する許容するリスクが時間の幅を決定しているかも知れません。そのような事を考えながら皆さんの意見を伺っていました。では宗太郎さん、よろしくお願いします。
宗太郎:ただ、朱雨さんの意見はよく要点をまとめておりましたし、会長のお話も私の投資スタンスに非常に近いものだったので、取り立てて内容に相違はありません。ただ、今回の議題に関してだけいうと、投資というのは時間軸が長くなればなるほど、リスクは高まります。保有する期間が長いほど、変動リスクや資産価値の低下リスクが増えるからです。ですから、「どちらが有利か?」となったときには、短期投資のほうが有利だと思います。ただ、再三お話が出ている「投資の技量」もしくは「手法」「投資方針」などによって、長期投資と短期投資の境界線というのは非常に曖昧になってくると思うのです。これから1年は上昇すると思う銘柄があったとして、それに取り組んだとしても、技量や情報収集能力があるものほど、その一年の間で相場観をそのつど修正しなおし、下落リスクがあると思えば、短期でも回避した仕切りを行うでしょうし、そうなった場合は短期投資を行ったおかげで、効率的な投資が行えたという結果になります。逆に、一時的に下がると思い、一旦決済した結果、そのあと思惑通りにいかずに、ひたすらバブルのときのように暴騰してしまった場合はどうか?その場合は長期投資で取り組んだ方がよかったという結果になりますよね。ですから、「どちらが有利か?」ということは「リスク」という観点、「回避」できるという観点でしたら、短期投資のほうが向いているでしょうが、だからといって、投資をする人間がみんな短期投資で結果が出せるものではないということだと思います。以上です。
岩渕:ありがとうございました。短期投資、長期投資という2つの選択ではなく、それぞれのメリット、デメリットというのを考え、自分のスタンスや投資に向けられる時間に合わせた投資をみなさんが考えていく必要があるということですね。非常に参考になりました。それでは、本日のドリームフィールズ投資家対談を閉会いたします。