第三部 メディアに欠ける政策リテラシー
竹中:先ほど「対応を誤る」と言いましたが、日本でのテレビメディアの反応を見ていると、ものすごく危ういと思います。金融リテラシーの問題が大きなテーマだと思うんですけれども、政策のリテラシーもあるわけです。特に金融というのは、当局の関与というのは依然として非常に強い。政策当局がどのように動くかということが、マーケットを見るうえでも大変重要です。
銀行に関しては、日本でも預金保険法にあるように、公的資金の枠組みはあるわけですが、証券会社、保険会社については、そういうものはないわけです。そういったことを無視して、公的資金を入れるべきだとか、入れるべきでなかったとかいう議論は、何を議論しているのか全然わからない。
勝間:そうですね。いったい何の目的で、何を要求しているのかさっぱりわかりませんね。
ところが、政策のリテラシーというものを恐ろしく欠いた発言を、割とテレビメディアで平気で行っていると私は感じるんです。
例えば公的資金です。公的資金を入れるべきだとか、入れるべきでないかを、どこのメディアも議論しているのですが、公的資金とは一種類ではないんです。
今回、米金融当局(FED)が準備したのは、流動性を供給するという意味での、いわゆる公定歩合での貸付です。これは今まではなかったものなのですが、新たにアメリカ政府が、今回の危機に際して準備したものです。
それに対して、流動性の問題ではなくて、資本不足の問題であるということになると、これは資本注入しか道はありません。これは担当からいうと、流動性はFEDだけれども、資本注入をやるかどうかというのは、これは財務省の問題になりますよね。
竹中:私は今回は、ポールソン財務長官や米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は、非常にしっかりとした対策をとっていると思います。